「防犯対策に完全なものはありません。仮にあったとしても、現時点での話であり将来的に保証されるものではありません」
鍵屋がこんなことを言うと、お怒りになる方もいらっしゃるかもしれませんが、申し訳ありません。これが現実でもあるのです。防犯対策とは「絶対に侵入できなくする」ことではなく、「可能な限り侵入され難くする」ことだという認識を持って頂かないと始まらないのです。
例えば以前騒がれたピッキングの対象になっているシリンダーは、相当なシェアを誇っているメーカーのものです。それが多く使われた大きな理由は安かったからです。そして次に破壊による不正開錠の対象になったものは、そのメーカーが対策品として販売したシリンダーです。これも安いという理由から使われていたものです。
今(2005年現在)は、さらに対策をされたシリンダーが販売されています。その最も普及率の高いシリンダーはピッキング対策も破壊対策もある程度はされていますが、基本的な構造そのものに大きな変更はなく、決して強いと言えるものではありません。現在はそのシリンダーと、その発展型がかなりのシェアで採用されていますが、どうも付け焼刃というか、その場凌ぎ的な対応に思えてなりません。
しかしユーザーの立場で考えればコストは重要なファクターの一つですし、メーカーとしてその要求に答えるのは当然の事だと思います。安価に提供できる製品を作ろうと努力する姿勢は、メーカーの姿勢として間違っていないし、逆に正しいと言えるでしょう。 |