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ガラスの交換


 
はじめに知っておいて頂きたいこと

 既にお話していますが、一戸建ての侵入経路でもっとも多いのが窓ガラスからの侵入です。また、集合住宅でも増加傾向にあり、決して無視できない数字になってきています。
 したがって安心できる暮らしのためには、窓の防犯対策は避けて通れなくなってきていると言えるでしょう。他の対策は割られた後にどうしようという考え方なのですが、窓の対策の中で唯一、ガラスそのものを強化しようというのが防犯ガラスの導入です。
 警察庁と国土交通省が主体になって発表された「共同住宅における防犯上の留意事項」でも、共同住宅では、侵入盗から居住者の資産や安全を守るため、防犯ガラスの採用が薦められています。
 ただし最も効果が期待できる反面、最も費用がかかるのも事実で、導入にあたっては、通常の防犯対策と比較すると桁違いの費用がかかりますし、大掛かりな施工になってきます。したがって賃貸の方であればオーナーの意向、分譲であっても理事会の承認などが必要になるケースが多く、簡単には取り入れることが難しいのが現状のようです。
 一般的に「防犯ガラス」と呼ばれているものは、いわゆる「合わせガラス」のことですが、他にも防犯効果があると思われているガラスもありますので、一応それぞれのガラスに対して、どのようなものなのかを含めてお話してみます。結論から言ってしまうと、単体で使用する場合、「合わせガラス」以外のものは、防犯効果が認められないとされているのが現状です。

 
合わせガラス(防犯ガラス)

 一般的に「防犯ガラス」と呼ばれているものは、いわゆる「合わせガラス」の中で防犯効果が認められるもののことで、結論から言ってしまうと、「合わせガラス」以外のものは防犯効果が認められないとされているのが現状です(単体で使用する場合)。 
 合わせガラスには金属板をはさんだものなど、中間膜として様々な材質が使用されているものがありますが、主なものとしては、通常のガラスの間に特殊なフィルムをはさんで熱圧着したものと、アクリル系の樹脂液を注入し、硬化させて接着しているものになります。
 どちらも元々は防音効果や紫外線カット、災害や火事で割れた場合の飛散防止などの目的で開発されたものですが、構造的に破壊に強いため、最近は「防犯ガラス」として販売されることが多くなってきたようです。
 防犯効果はガラスの間にはさまれているものの材質と厚さに左右されます。一般的に防犯ガラスとして販売されているものは、十分な厚さの中間膜を持ったものになります。そうは言っても実際にどれくらいの厚さがあるのか、どんな材質が使われているのかくらいは知っておかないと、選択するのに困りますので、以下にある程度の記号の読み方を紹介しておきます。
 
一般的に合わせガラスで使われる略号の意味は次のようになります。

●単位を表している略号
 mil 主にフィルムの厚さを表す単位で使われる。1mil=0.25o 
 μm  主にフィルムの厚さを表す単位で使われる。1μm(ミクロン)=0.001o。
 FL3 ガラスの種類と厚さを示している。この場合は3oのフロートガラス。

ちなみにフロートガラスとは一言で言ってしまうと、現在一般的に使われている通常の透明な板ガラスのことです。溶けた金属の上にガラス生地を流して作られます。この時に溶けて液体化した金属の上に浮くようにして作られるため、このような呼び方をされます。昔の板ガラスと比較するとひずみを取り除くことができるメリットがあります。
●材料を表している略号
 PVB ポリビニルブチラール 
 EVA エチレン酢酸ビニル共重合樹脂
 PC ポリカーボネート 
 PET ポリエチレンテレフタレート
 P/M パンチングメタル
●合わせガラスの表記例  : FL3+PVB30mil+FL3 
 30ミルのポリビニルブチラールを3ミリ厚のフロートガラス2枚で挟み込んだ合わせガラスという意味になります。
●官民合同会議で防犯効果があると認められた製品の規格
 ・FL3mm+PVB30mil+FL3mm
 ・FL2.5mm+PVB60mil+FL2.5mm
 ・FL2.5mm+PET250μm+FL2.5
 ・FL3mm+EVA1.6mm+FL3mm
 ・FL2.5mm+PC1.2mm+FL2.5

 一応「官民合同会議」では、上記の厚さのあるものであれば、試験を受けていないものであっても、防犯効果があると認める方向で話が進んでいるようです。ただし、現時点において実際に試験を受けていないものは、「官民基準」もしくは「官民合同会議試験合格品」と明記することはできないようです。
 細かい話はどうでも良いのですが、大事なことは一般的なポリビニルブチラールの中間膜を使ったものの場合、30mil以上の中間膜を持ったものは「官民合同会議」では防犯効果があるとされているということです。しかし実際に防犯効果を考えると、5分以上、できれば10分以上の原則を考え、60mil以上の厚さを持ったものを使うことが望ましいといえます。

 また、実際に施工する場合の費用も30milと60milではそれほど価格に大きな差は生じませんので、そういった意味からも当社としては60mil以上の中間膜を使った商品をお勧めしています。どちらにしても通常のガラス交換とと比較すれば材料費で5倍程度も違うために、非常に高価なものになってしまいます。これが「合わせガラス」の普及が遅れている原因にもなっていると言えます。

  
強化ガラスについて

  強化ガラスは衝撃に対して非常に強く、割れても破片が粒状になるため「安全ガラス」とも呼ばれています。

コラム:強化ガラスのメカニズム 興味の無い方は、ここは読み飛ばしてください。

 ガラスの割れるメカニズムを理解すると、強化ガラスについて理解しやすくなりますので、いきなり難しい話になってしまい恐縮ですが、少しだけお話させていただきます。
 衝撃によりガラスに力が加わった時は、ガラスがたわみます。この時、力が加えられた反対側のガラス表面には外に広がる力(引っ張り応力)が加わります。ガラス表面には元々小さなキズが多くありますので、その力がキズに集中します。そしてそのキズが起点となって深くなり、反対側(力が加えられた面)まで達してしまうのが、ガラスが割れるメカニズムです。
 そこでガラスの表面に最初から内側に向かった力(圧縮応力)を与えることにより、衝撃により発生した外側に向かった力と相殺されるので、割れることを防止できます。加工方法はいくつか有りますが、そのような考えのもとに加工が施されたものが、いわゆる「強化ガラス」と呼ばれるものです。
 したがって表面を叩いたり、人がぶつかったりした場合の面に対する衝撃には非常に強いのですが、尖ったもので突付かれると、比較的簡単に圧縮応力を超えてしまうために割れやすいという性質があります。
 また、元々表面に圧縮応力があるということは、言い換えれば内部にエネルギーが蓄積されていることになります。そのため割れる時には、一気にこのエネルギーが開放されるので、粉々に砕け散ることになります。場合によっては、未熟な加工技術を使って作られた強化ガラスなどは、なんの力も加えていないのに粉々に割れてしまうこともあります(これを自爆と言います)。
 強化ガラスが割れた状態は、車のフロントガラスにも使われているので、事故を起こした車のフロントガラスの状態を見れば良くわかりますが、このような性質と侵入犯の手口を合わせて考えると、強化ガラスは単体ではあまり防犯効果が無いことが分かります。

 まず侵入犯がガラスを割る時には、バールやドライバーなど鋭利な道具を使います。よってピンポイントでの力に弱い強化ガラスは、このような手口に対する耐性がありません。また最近増加している手口に、バーナーなどを使用した「焼き破り」がありますが、この手口に対しては全く無力です。
 逆に割れた場合は、枠内のガラスがほとんど飛散し空洞化してしまいますので、かえって大きな開口部が開いてしまうことになり、防犯対策として考えた場合には意味が無いと判断されているのです。 
 ちなみに、強化ガラスが割れる時はかなり大きな音が出ますが、最近のコミュニティーの希薄化を考えると、音による防犯効果は期待できないと思われます。事実、当社でドアの補助錠の取り付け工事をしている時など、かなりの音が出るのですが、近隣の方が出てくることはほとんどありません。
 他にも熱に対する耐久性を持たせた耐熱強化ガラスがあります。これはただの強化ガラスより大きな耐風圧強度があり、火災時にガラスが割れ落ちて火災が貫通するのを防ぐ効果のあるガラスですが、強化ガラス同様に道具によっては簡単に破れるので防犯性能自体はあまり変わりません。
 このように、強化ガラス単体で使用しても防犯性能は期待できないのですが、複層ガラス(後述します)の内側に使った場合は、防犯性能が高いと言われています。

  
網ガラスについて

 ガラスの中に、格子やひし形などの金属製網が入っている板ガラスです。このガラスは、割れても中に入っている金属網がガラスを支えるので破片が飛び散らないのが特徴で、ワイヤーガラスとも呼ばれています。
 このガラスは防火設備用として開発されたものです。つまり火事の時に、熱によりガラスが割れてもガラスが脱落しないように網が入れられています。
 とくに都市近郊の住宅地域では準防火地域指定がされているケースが多いといえますが、建築基準法では、定められた防火地区や、準防火地区にある建物には使用が義務づけられている場合が多いので、目にする事が多いと思います。
 このガラスは、見た目には強そうなので防犯効果があると思われがちですが、単体で使っていても防犯性能は全く期待できません。
 上記強化ガラスのところで、ガラスが割れるメカニズムを紹介していますが、逆にガラスの中に網(ワイヤー)が入っているために、むしろ強度は弱くなります。また割れてもガラスが飛散しないので、逆に音を立てずに割ることが出来てしまいます。そういった意味では普通のガラスより危険と言えるかも知れません。
 しかし、簡単に割れてしまうため、クレセント(窓のカギのようなもの)を回されてしまうのですが、中に金属製の網が入っているため、人が通れるほどの開口部を開けようとすると、普通のガラスと比較すると手間がかかります。したがって、クレセントをカギ付きのものに交換する事により、ある程度の防犯効果が期待できると思われます。
 また、建築基準法で使用が義務つけられている場合(現在すでにこのガラスが使われているケースが多い)、ガラス交換時には防火基準が満たされたものを選ばなければば違法になるため、合わせガラスに交換したい場合は網ガラスを使った合わせガラスを使用するなど、注意が必要です。 

 
複層ガラスについて

 複層ガラスとは、2枚以上のガラスの間に乾燥空気の層を封入したガラスのことです。
 このガラスを使用すると、断熱性や遮音性が高くなり、結露しにくいメリットがあります。断熱効果としては、普通のガラスと比較して2倍以上の効果があると言われていますので、省エネ対策と同時に地球温暖化防止の対策として注目されています。
 また、使用するそれぞれのガラスをほぼ自由に選べるため、様々な機能を持たせる事が可能ですので、防犯対策として考えた場合、内側に強化ガラスや合わせガラスを使用すれば、高い防犯性能が期待できますし、断熱効果など上記のメリットが全て期待できます。
 このように良い事ずくめなのですが、デメリットとしてはサッシが重くなりますし、複層ガラスを単板ガラスが使われているサッシに導入しようとした場合、サッシ自体を交換しなければならないことが多く、かなり大掛かりな施工になりますので価格が高くなる欠点があります。
 この価格を抑えるために、単板ガラス用サッシにガラスの厚さを調節するアタッチメントと呼ばれるアダプターを装着する工法があり、この工法で取り付けられたものを「アタッチメント付き複層ガラス」と呼びます。この方法はかなり安く施工できるために、ガラス屋さんやリフォーム業者が良く勧めているようです。
 ただし気を付けなければならないのが、アタッチメントで複層ガラスにした場合、結露防止や防音・断熱効果は期待できますが、サッシの強度が確保されないため、防犯効果はあまり期待できない事が多くあります。

 
まとめ

 ガラスの交換は、本当の意味での防犯対策を考えるのであれば、避けて通れない部分でもあり、防犯効果として非常に期待できるものなのですが、どうしても費用が高くなるものなので、おいそれと選択できないのが欠点と言えます。
 また、どれだけの金額がかかるのかも、個々の住宅や取り入れるガラスの種類によって様々ですので金額の比較が難しい面があり、なかなか良心的なお店を探すのが難しいのも事実です。
 実際に、私達からみると法外な値段で施工している業者もありますし、未熟な技術により、せっかくの対策が意味の無いものになっている場合も見受けられます。例えば防犯施工を主な業務内容にしているにも関わらず、強度を考えずに合わせガラスを使った複層ガラスをアタッチメントで取り付けるなどは、プロの工事としてどうなのでしょうか。
 また、ガラスの支持方法(当社ではシーリングによる支持)によっても、かかる費用も期待される効果も変わってきます。そうなると、なかなか一般のユーザーのみなさまで判断するのは難しくなってくると思います。
 しかし、ここに書かれている情報を持って話を聞くだけでも、業者選びに関してはある程度の参考になると思います。ガラスの張替えは決して安いものではないだけに、極力失敗を避けるためにも、ここに書かれている情報がお役に立てば幸いです。

 

  

   

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